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   虫歯&銀歯の女の子   

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   虫歯&銀歯の女の子   

1 :名無しさん@ピンキー:04/07/19 16:12 ID:8MZmTy88
こんな子に激しく萌えます


349 :名無しさん@ピンキー:04/09/06 23:48 ID:x46YAe9L
申し訳ないが作り話じゃ悶えない。いったいいつまで続くの??

350 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 00:03 ID:qxeQdq3A
続けてほしいです!!!!!!!!

351 :345:04/09/07 00:35 ID:nhGqUepV
帰ってきたんで続き。

「まず左上を見せてね、はい、あーん。
 …うん、充血も引いてるわ。 今日神経抜いてしまいましょう。」
香緒里の口を覗き込みながら萩原先生が言った。
「あと、上の6番の掃除して、前回削った5番は金属が入るからね。
 どうする?途中で嫌になってもいいように酷い歯からやろうか?」
「…はい」
酷い歯、と聞いて一瞬青ざめた香緒里だが、覚悟を決めたのか自分から口を開けた。
「じゃあ6番ね」
ゴムのような覆いが外され、細く裂いた脱脂綿が香緒里の歯の中から引き抜かれる。
荻原先生が綿をライトにかざした。先の部分が緑ががったクリーム色に染まっている。
「やっぱりまだ膿んでいるみたいねぇ。もう一度掃除するわね。」
例の針が香緒里の歯にねじ込まれていく。
「んんぅ、…はぁ、ああ……」
やはり相当響くのだろう。香緒里の目端からすっと涙が流れる。
「……ちょっと徹底的に洗うわね」
そういうと荻原先生は、今までねじを回すように入れていた針を、
力を込めて激しく出し入れし始めた。
「あ、ああっ! いあぁ!!」
香緒里が叫ぶ。
荻原先生はそれにはかまわず、額に汗をにじませ、針を取り替えながら同じことを繰り返している。
ざっ、がすっ、がりっ。
かすかにそんな音も聞こえてくる。見ている俺も膝が笑ってくるような治療だ。
「……ふう」
荻原先生は、ため息をつくと、額の汗を拭いた。
「もういいわよ。これで上向きになってくれれば良いんだけれど。」
香緒里は肩で息をしている。涙を拭く気力もなくなっている。
助手が気づいて、ハンカチで香緒里の目の横をそっとぬぐってくれた。


352 :345:04/09/07 00:47 ID:nhGqUepV
香緒里の歯に手際よく薬と脱脂綿を詰め、蓋をすると、
荻原先生は一瞬伸びをして、香緒里に向き直り、微笑んで言った。
「じゃあ一番奥の歯を治療します。良く我慢できたわね。もう大丈夫よ」
香緒里の目がまたじわっと滲む。
優しい言葉をかけられて、痛みに苦しんだことを思い出したのだろう。
「麻酔の注射をしますからね。」
荻原先生は、注射器を2本持ってきた。
香緒里の口を開かせる。
「はい、最初ちくっとします。その後は押される感じがしますよ。」
香緒里の一番奥の歯のすぐ隣に針は差し込まれた。
少し薬液を入れては針をほとんど抜けそうなところまで引っ張り、
方向を変えてまた奥深く差し込む。
香緒里は目をぎゅっと瞑って頑張っている。


353 :345:04/09/07 01:06 ID:nhGqUepV
一本目の薬液がすっかりなくなったのを確認して、荻原先生は注射器を抜いた。
「はい、いーってして、あ、少しだけ開けてみて」
指示に従った香緒里の唇の左端を、助手が左上に引っ張りあげる。
「ちょっと痛いかもしれませんよ」
言うと同時に2本目の注射器が、香緒里の歯茎に射し入れられた。
「ひ、いぁ、んぅう」
薬液を押し込まれるたびに香緒里は息を漏らした。
「はい、終わり。効くまで少しかかるから、下の金属、入れてしまうわね」
荻原先生は、助手が持ってきた金属の詰め物を香緒里の歯に当てて具合を確かめると、
満足そうに肯き、さっとセメントをつけて詰めてしまった。
さらに指でその歯を、顎ごとぎゅうっと押さえる。
香緒里はびっくりして目を白黒させている。
1,2分たっただろうか。
「よし。そろそろ麻酔もきいたでしょう」
荻原先生はそう言うと、いそいそと歯を削る準備をし始めた。

354 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 01:13 ID:6A+kEgPi
チムポが元気になってしまった。
治療する美人先生が説教をしているときに、
先生の差し歯の裏側が見えてドキドキ・・・。


355 :345:04/09/07 01:21 ID:nhGqUepV
キュウゥゥゥウン、キュィイ、キュイーィン。
麻酔が良く効いているのだろう。
香緒里は最初こそ緊張で固くなっていたが、
今はこの痛そうな音の中、すっかりリラックスしている。
「ああ、手前がやっぱり酷いわねぇ…」
削りながら荻原先生がつぶやいた。
この歯は元々、手前の崩壊した虫歯と昔接していたであろう部分から出来、
小さな穴が空いて中で広がった虫歯だった。
俺が欠けさせてからは、前半分が大きく口を開けていて、中の黒茶色いのが良く見えた。
見たところ後ろ半分は何もなさそうだったが、
神経を取るというのだから全部削ってしまうのだろう。
そんなことを考えているうちに、すっかり神経の処置まで済んだらしい。
「この歯は次回、土台を入れていけそうね」
見ると、香緒里の歯は手前が歯茎ぎりぎりまで削られ、
後ろに向かって傾斜がつけられていた。
真ん中は神経を取って一層へこんでいるので、斜めに切った竹のようだ。

356 :345:04/09/07 01:28 ID:nhGqUepV
薬を詰める準備をしながら、荻原先生は香緒里に話しかけている。
「今日、後一本ぐらい治しておこうと思うんだけど、いいかしら。
 ほら、前も言っていた上の4番、一番小さい奥歯ね。一回で治るから。」
「あのぉ・・」
「ん?」
「悪い歯から治して欲しいんです。 もうあんな痛いのやだし…」
「ってことはこの前歯かしら…うーん、院長に相談してからの方が…」
「いえ、そこじゃなくて…」
香緒里の言葉に、荻原先生も俺も首を傾げた。
確か香緒里の歯はC4が1本、C3が2本。
C3で残っているのは前歯だけのはずだが…。
俺が悩んでいる間に、荻原先生が先にひらめいたようだ。
「香緒里ちゃん、もしかして、他にも痛い歯があるの?」
「……はい」

357 :345:04/09/07 01:34 ID:nhGqUepV
またも香緒里は真っ赤だ。
「今更恥ずかしいことじゃないわ、どこ?」
「…右の上の…」
「そう。ちょっと待ってね。」
そう言うと荻原先生は、左上の奥歯の処置を仕上げると、レントゲンを手にした。
「ああ、このインレーが入っている歯ね。うっかりしてたわ。これは痛いかもね。」
俺もようやく思い至った。
10年前に詰めた銀の周りが汚らしく変色し、香緒里も「しみるの」と言っていた歯。
実際はしみるどころか、すでに痛みだしていたわけか。
『また嘘吐いたな』、という目で軽く香緒里をにらんでやる。
香緒里は慌てて、
「あの、でも、ズキズキするんじゃなくて、なんかジーンと重い感じなんです。」
と言い足す。

358 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 01:41 ID:Xchclbcy
すごい充実ぶり。みんなありがとう

作り話じゃ萌えないって、
ネカマが、歯医者さんに行ってキュイーンされちゃいました、
皆さんは虫歯のない女の子が好きなんですよね
とか書いてるやつのほうがいいって言うんだろうか?
こっちのスレほうが、よっぽど完成度も高いし、萌えるが。俺は。

ま、とにかく、期待してる。

359 :345:04/09/07 01:48 ID:nhGqUepV
「うーん、早く治療してあげたいなあ…でもねぇ」
「でも?」俺と香緒里が同時に聞く。
「左と右、両方治療中だと食べられるものも限られてくるし、
 違和感が強かったりするからお勧めできないのよね…」
「無理なんですか?」
香緒里が勢い込んで聞くと、荻原先生は苦笑した。
隣では美人助手も苦笑している。
「そこまで言うってことは実は結構痛いんでしょう?嘘は駄目よ」
「……は、い…」
俺はちょっと呆れた。まあ、自分から治して欲しいと言ったから、許してやろう。
「じゃあこっちも麻酔するわね。神経に届いてるから。」
さっと麻酔をすませると荻原先生は、ドリルの先を取り替える。
「じゃあインレーを外すわね」
ブウゥゥン…
回転数も違うのか、スイッチを入れると、歯を削るときとは違う音がした。

360 :345:04/09/07 02:20 ID:nhGqUepV
ドリルが香緒里の口の中に入れられる。
ウィイン!
一度大きな音がしたと思ったら、荻原先生はすぐにドリルを抜いてしまった。
「……取れたわ…触っただけなのに…これは酷いわ」
助手に言って、手鏡を取ってこさせる。
手鏡を香緒里に渡し、探針を口の中に入れる。
「見える?インレーの下、全部虫歯だわ。
 セメントが全然効いてなかったもの。ほら、触っただけで崩れるでしょう?」
香緒里は泣き出しそうになっている。
俺も中を見せて貰った。
大きめのインレーが入っていたところ一面、茶色くなっていて、
針で触ると簡単に、ぐずぐずと崩壊していく。
「さあ、さっさと治してしまいましょう。香緒里ちゃん、泣いてたら削れないわ。
 麻酔は効いているでしょう?」
ひっく、ひっく。
香緒里がしゃくり上げている。
「うぇっく、はずかしいよぉ、こんな、きたない歯ぁ、ひいっく」


ううー、限界。
心理戦得意な人に、是非続きお願いしたい。

361 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 03:41 ID:16alfnjM
「大丈夫よ。それにしても、ずいぶん痛かったでしょう。」
萩原先生が、やさしくなぐさめる。
すると・・
突然、美人助手が立って、診療室の窓を開けた。
「けほっ、すごい臭いだわ。」
そう言うと、マスクを取ってきて、つけた。
「はい。いくら彼女の歯だって、辛いでしょ」
と、俺にもマスクを渡してくれた。
そういえば・・・
何かが腐ったような、歯を磨かなかった翌朝の口臭のような、臭いがする。
これが、あの歯から出てるのか・・?

362 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 04:26 ID:16alfnjM
香緒里は、ますます激しく泣き出した。
「金子さん。あなた。」
萩原先生は、助手を軽くにらみ、
「こうなってしまったのは、前の治療が原因なの。だから、香緒里ちゃんが泣くことないのよ。」
と、香緒里をなぐさめた。
「だから、治していきましょう。ね。」
香緒里がひっく、ひっく、としゃくりあげながら、ハイ、と返事をした。
「じゃ、続けるわよ。はい、あーん。」
まずは、水で洗いながら、バキュームで吸い取り、それから、ドリルで削りに入った。
「ん、あああああああ」
「麻酔効いてるでしょ。だいじょうぶよ。もうちょっと。我慢して。」
香緒里は、泣きながらも治療に耐えている。

363 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 04:27 ID:16alfnjM
3分ほど削っていただろうか。
ドリルの音がやみ、バキュームの、ズズズ、ジュポーっ、という音がして、椅子が起こされた。
「まず、うがいしてくれる。」
先生に言われて、うがいをした香緒里は、青い顔で言った。
「歯が・・歯がない!」
萩原先生は、ちょっと頷くと、口を開いた。
「虫歯に侵されてる部分を全部取ったら、ほとんど残らなかったわ。あとは、さっきの臭いでもわか

るとおり、」
香緒里は、赤くなってうつむく。
「神経のところは、腐ってたわ。一応、よく洗って、これから根の処理をするけど」
また!香緒里が硬くなる。
「ジーンと痛かったってことは、炎症が慢性化してるってことなの。だから、かなり長くかかるわね

。覚悟してかからないと。」
香緒里は、もう、どうでもいいといった顔で、ぐったりとしてしまった。

こんなとこか。もう寝るぜ。続き頼みます。

364 :295:04/09/07 05:49 ID:mgAdD4/b
小説書いてくれたみんな、乙!

いちおー、363まで纏めた。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand/4796/feti/index.htm

365 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 08:49 ID:9sBRJ5M2
むはー、いい感じになってきたー。
続きかこ♪

「残った神経を取りますね」
萩原先生はそう言うと、ユニットを倒し、例の針を手に取った。
おびえた目で先生を見る香緒里。
先生はにっこりと微笑んで、香緒里に口を開けさせた。
「そんなに痛くないと思うから、大丈夫よ」
そう言って針を歯に入れたとたん、
「あぁっう」
香緒里がびくんと動いた。
萩原先生は針を抜いて
「ゴメン、まだ麻酔が足りなかったみたいね・・もう2本打つわ」
といい、台の上の注射器を手に取った。
「さっきの麻酔が効いてるから、大丈夫よ」
萩原先生はそう言いながら、香緒里の歯茎に針を入れた。
針をぎゅっと押し込まれると香緒里はちょっと顔をしかめたが、それほど痛くないようだ。
「OK、後1本ね」
同じように注射をするが、香緒里は眉間にしわを寄せただけだった。
「痛くなかったでしょ?」
先生がにっこり笑って言うと、香緒里はこくんと頷いた。

366 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 08:49 ID:9sBRJ5M2
むはー、いい感じになってきたー。
続きかこ♪

「残った神経を取りますね」
萩原先生はそう言うと、ユニットを倒し、例の針を手に取った。
おびえた目で先生を見る香緒里。
先生はにっこりと微笑んで、香緒里に口を開けさせた。
「そんなに痛くないと思うから、大丈夫よ」
そう言って針を歯に入れたとたん、
「あぁっう」
香緒里がびくんと動いた。
萩原先生は針を抜いて
「ゴメン、まだ麻酔が足りなかったみたいね・・もう2本打つわ」
といい、台の上の注射器を手に取った。
「さっきの麻酔が効いてるから、大丈夫よ」
萩原先生はそう言いながら、香緒里の歯茎に針を入れた。
針をぎゅっと押し込まれると香緒里はちょっと顔をしかめたが、それほど痛くないようだ。
「OK、後1本ね」
同じように注射をするが、香緒里は眉間にしわを寄せただけだった。
「痛くなかったでしょ?」
先生がにっこり笑って言うと、香緒里はこくんと頷いた。

367 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 08:50 ID:9sBRJ5M2
数分経った後。
「麻酔が効いたか確かめるから」
先生はそう言うと、香緒里の歯の中に針を入れた。
「んぁあっ」
やはりびくんと動く香緒里。困ったような顔をする先生。
「・・金子さん、あれ持ってきて」
そう言われた助手は、となりの部屋に入って、A4ぐらいの紙を持ってきた。
そこには、歯の断面図のようなものが書かれていた。
「あのね、歯ってのは元々こんな感じなのね。この赤いのが神経ね」
香緒里がこくんとうなずく。
「この神経が根の先から歯茎の方につながって、痛みを感じるようになってる。麻酔も、根の先から神経に入るのよ」
香緒里は、もう一度こくんとうなずく。
「で」
先生は、根のところ以外の神経をボールペンで塗りつぶした。
「さっきの歯は、ここまで神経が死んじゃってるの。でも、根のところは生きてるわ」
「あ、だから痛かったんですね?」
香緒里が合いの手を入れる。
ところが、先生は「ええ」と言いながら困ったような顔をした。

368 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 08:51 ID:9sBRJ5M2
数分経った後。
「麻酔が効いたか確かめるから」
先生はそう言うと、香緒里の歯の中に針を入れた。
「んぁあっ」
やはりびくんと動く香緒里。困ったような顔をする先生。
「・・金子さん、あれ持ってきて」
そう言われた助手は、となりの部屋に入って、A4ぐらいの紙を持ってきた。
そこには、歯の断面図のようなものが書かれていた。
「あのね、歯ってのは元々こんな感じなのね。この赤いのが神経ね」
香緒里がこくんとうなずく。
「この神経が根の先から歯茎の方につながって、痛みを感じるようになってる。麻酔も、根の先から神経に入るのよ」
香緒里は、もう一度こくんとうなずく。
「で」
先生は、根のところ以外の神経をボールペンで塗りつぶした。
「さっきの歯は、ここまで神経が死んじゃってるの。でも、根のところは生きてるわ」
「あ、だから痛かったんですね?」
香緒里が合いの手を入れる。
ところが、先生は「ええ」と言いながら困ったような顔をした。

369 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 09:03 ID:MUCDOB+X
根の掃除が始まった。
荻原先生がごりごりと針を操作する。
「神経は全部死んでしまっているから、痛くないでしょう。
 今まで痛かったのは、神経が腐ってでたガスの、行き場がなかったからなの」
ひぃっく。荻原先生の声に香緒里が嗚咽で応える。荻原先生は更に、
「この歯とこの、」
と言って左の奥から2番目の歯を指し、
「歯の根の治療に、あと半月ぐらいかかると思うわ。週2回ぐらい来て貰うわね」
と言う。
「あと、院長先生が帰って来次第、前歯も何とかしましょうね。
 他の歯は、しばらく手を出さないでおくわね。
 奥歯が両方治療中だから、あまり固い物は食べないでね。
 はい、終わり。」
ひっく、ひぃっく。
嗚咽を漏らしながら香緒里はうがいをした。何度も、何度も。
両方に麻酔をされて、うまくうがいできず、ごぼごぼと口から溢れだしている。


370 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 09:05 ID:MUCDOB+X
うわ、ごめんなさい、かぶった。
369は忘れて下さい。

371 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 09:17 ID:9sBRJ5M2
ぬを、かぶっちゃったか・・
続きUP行きます。ゴメン。

「さっきの歯は、歯の根のところが細くなってて・・死んだ神経があると細くなるんだけどね。
で、麻酔がうまく入っていかないのよ」
しばらく考えていた香緒里の顔が、さっと曇る。
「・・ど、どうするんですか」
「一番楽なのは、生きている神経のところに直接麻酔の注射をする」
なんか、聞いただけで歯が痛くなってきそうな治療である。
「・・他には、ないんですか」
すこし蒼くなった香緒里が、先生に食い下がる。
「神経を殺す薬を詰めてしばらく置く、ってのもあるけど、次の治療までずっとじんじんするし、効かないかもしれないわ」
香緒里が、まだ何か言おうとしたが、言う言葉もなくなったらしくうなだれる。
「注射さえ終われば、楽になるから・・がんばろ。ね」
萩原先生がぽんぽんと肩を叩くと、香緒里は力なく頷いた。
「じゃあ、準備するから」
先生はそう言うと、となりの部屋に入っていった。

372 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 09:17 ID:9sBRJ5M2
先生が、助手を3人ほど連れて出てきた。
無言で、ユニットを倒す。香緒里はおびえた目をしているが、先生は器具のチェックに余念がない。
「えっと・・動くと危ないから、頭押さえさせてね」
先生がそう言うと、助手の一人が香緒里の頭を押さえた。もう一人が、足のところを軽く押さえる。
香緒里の目には、もうすでに涙が浮かんでいる。
「じゃ、やるからね・・痛いけど、動かないでね」
先生はそう言って、香緒里の口を開けさせ、歯の中に注射器を進めた。
「あぁあっ!」
香緒里が悲鳴を上げてびくんと動くが、助手二人がさっと押さえつける。
「危ないから動かないで!」
先生が叫ぶように言う。
「う・・うぁあっ・・」
香緒里は痛そうに声を上げる。先生は、ゆっくりと液を入れていく。
香緒里の目から涙がこぼれ、額には脂汗が浮かんだ。もう一人の助手が、さっとそれを拭く。
「そう、動かないで・・」
「あぁぁっ・・ふぅん・・」
諭すように言いながら、ゆっくりと液を入れていく先生。香緒里の目尻から、また涙の筋がたれる。

373 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 09:30 ID:9sBRJ5M2
「もうちょっと、もうちょっとだから・・最初の方の麻酔が効き始めるから楽になるわ」
「んぁあっ・・」
萩原先生はそう言いながら、なおもゆっくりと薬を入れていく。
香緒里の方も、すこしは楽になったようだ。
「・・これで、終わり」
先生はそう言うと、注射器を台において、汗をぬぐった。
「お疲れ様、香緒里ちゃん」
助手の人たちもそう言いながら、自分の汗をぬぐっている。
香緒里は、ひっくひっくとしゃくり上げながら涙をぬぐった。
「これで麻酔が効いたから、そんなに痛くないと思うから。お口開けて・・」
先生はそう言うと、例の針を手に取った。
香緒里は、まだ泣き続けていたが、ゆっくりと口を開いた。
針を歯の中に入れられると、またぴくんと動く。
「ん、ちょっと我慢してね」
そう言いながら、先生は根の治療を続けた。

374 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 09:31 ID:9sBRJ5M2
「・・はい、今日はここまで・・お疲れ様」
先生はそう言うと、大きくふぅと息を吐いた。
お疲れ様、と言っているが、自分もだいぶ疲れたのだろう。
「この歯も、しばらくは根の治療しないとダメだけど・・こっちは、もう一本の方よりは早く治るはずよ」
先生がそう言うと、香緒里は力なく微笑んだ。
「次の予約、明後日の夜でいい?」
「はい、よろしくお願いします」
香緒里がそう言うと、先生はにっこり笑って香緒里の頭をなでて
「もう一息、頑張りましょ。今日はよく頑張ったわ」
と言った。

ふぅ、やっと治療完了・・やー、治療長いなぁ。
さて、1000までに香緒里の虫歯は完治するのでしょうか?w

375 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 09:33 ID:9sBRJ5M2
今チェックしたら>>367>>368二重になっちゃった。
>>368はとばしてください。

376 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 09:52 ID:ApxuxKX2
オツカレ!
押さえつけられて麻酔…萌えだ〜
あとは、クラウンと前歯と、治療終了後の銀でぎらぎらした口が
萌えポイントかな〜。楽しみ。

377 :番外編・萩原先生:04/09/07 11:26 ID:fOljZbC6
乙〜
本編に刺激されて、萩原先生編も書き始めたんだけど、出なきゃ
途中までうpするね
全然いいところにまだ到達してなくて申し訳ない

「歯医者さんは、虫歯がないんですか?」と聞かれることがある。
もちろん、人よりも気をつけてはいるが、
歯医者だって、虫歯には、なるのだ。

あれから10年。佳奈子は、歯科医として、充実した日々を送っていた。
佳奈子自身は、左上の前歯を酷い虫歯にして失ってから、
きっちり歯を磨き、半年に1度、前歯を治療してくれた紺野にチェックしてもらい、予防に努めてきた。
もともと、歯が丈夫でない性質なのだが、努力の甲斐あって、
この10年では、2本の治療で済んでいた。



378 :番外編・萩原先生:04/09/07 11:27 ID:fOljZbC6
他の歯の状況は、こうだ。
幼稚園の時に、生えるなり虫歯にしてしまった、6番4本。
下の2本にレジン充填、上の2本は、もともとアマルガムだったのが、
2次齲蝕を起こして、小学生の時に、銀のインレーに変わっている。
あとは、前歯の治療の時に、上の7番の奥に、C1の虫歯が2本見つかり、レジンで充填されている。
5年前、親知らずを抜いたとき、下の7番の奥にも、やはりC1の虫歯が2本見つかったので、同様に治療してもらった。
もともとの歯が弱い佳奈子は、歯ブラシの届きにくいところがあると、すぐ、虫歯になってしまうのだ。


379 :番外編・萩原先生:04/09/07 11:29 ID:fOljZbC6
ある日。佳奈子は、勤務中に、右下のあたりに、違和感を感じた。少し、重いような・・・
「肩でも凝ってるのかな。もう年だし」
そう考えて、肩を揉んでいると、
「萩原先生。今日、すごい患者さん来たんですよ」
と、衛生士の金子夏美が話し掛けてきた。
夏美は、佳奈子と同じ時にこの医院に新卒で来たのだが、
衛生士なので、佳奈子より年は下である。
「どうすごいのよ。」
「虫歯が19本もあるんですよ。おじさんじゃないですよ。19歳の女の子。
彼氏に連れられてきたけど、男にぼーっとなってるから、あんなに虫歯になるんだわ。」
これだけ聞くと、彼氏ができない女の僻みのようだが、夏美は、佳奈子から見ても美人であった。
「ちょっとちょっと。19本はすごいけど、あなた、言いすぎよ。」


380 :番外編・萩原先生:04/09/07 11:31 ID:fOljZbC6
夏美は、歯が丈夫なようで、今まで、一度も虫歯になったことがない、と自慢していた。
そのせいか、虫歯を作る人間に対して、かなり手厳しい。
佳奈子が、患者に対して厳しいのは、自分の苦い経験からだが、
夏美の場合は、虫歯にしてしまう、ということ自体を軽蔑しているようだった。

たとえば・・
佳奈子は、患者を治療するとき、椅子を倒している間は、絶対にマスクをはずさない。
理由はもちろん、前歯の裏である。
佳奈子のブリッジは、紺野が気合を入れて、一番腕がいいという技工士に頼み、
2度も色あわせや修正をしてくれたおかげで、前から見ると、自前でないとは気付かない。
しかし、強度から言って、絶対に裏は金属でないとダメだ、と紺野が譲らず、
裏は、金属がギラギラ光っているのだった。
下から見れば、絶対にわかってしまう。

381 :番外編・萩原先生:04/09/07 11:49 ID:fOljZbC6
最初の頃は、声がこもって聞こえにくいからと、あまりマスクをしていなかったが、
歯医者になった年の秋。医院内で、衛生士や助手の歯科検診をしたときのこと。
夏美の担当になり、綺麗な歯に少し嫉妬をおぼえつつ、検診を終えたとき、
下から、夏美が言ったのだ。
「萩原先生、銀歯、見えてますよ。前歯の裏も。欠損してるみたいですけど、
まさか、虫歯じゃないですよね。」
佳奈子は真っ赤になった。
その反応を見て、夏美は、信じられない、という表情をし、さらにこう続けたのだ。
「前歯も虫歯にする人がいるなんて、いないと思ってた。」
衛生士である以上、そんなはずはないのだが。
その後、紺野に、裏が白いものに変えて欲しいと頼んだのだが、
あまりいじるのはよくない、と、許可されなかった。
院長にも頼んでみたのだが、
「せっかく綺麗に入ってるし、もったいないぞ」
と、これも取り合ってもらえなかった。
それ以来、佳奈子は、マスクをすることに決めた。

すまん、ここで中断

382 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 17:13 ID:kX0IdWf4
昼夜なく小説を書き続けるスレになってますな。
書いてくれてる人ありがと。

夏美助手のブラッシング指導がよみたいなぁ・・キビシイ奴。
誰かお願いします。

383 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 21:30 ID:8uVWc8NJ
>>1-382
今日昼に起きて家に誰も居ないと思って
上半身裸パンツ一丁でオナニー途中の
ギンギンなチンコを社会の窓から出して上下に振りながら
「ほんとにほんとにほんとにほんとにライオンだー」
と唄いながら廊下を行進していたところを
妹に見られた俺よりましだろ?
すげぇリズミカルにチンコ振っていたんだよねorz

384 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 21:33 ID:yX1Gpaap
誤爆?

385 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 21:38 ID:8saWqHd+
>>384
誤爆の割にはレス番合ってる・・

386 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 21:49 ID:mgAdD4/b
ちょっと話の腰折ってスマンが、
「レッド」ってレーベルで、「おっぱい大図鑑100人」とかのビデオあるじゃない。
htp://www.r-e-d.jp/sakuhin/aka081/bottom.html

で、このメーカーのホームページで、「企画募集」ってのがあって、フォームから、「こういうの見たい!」ってのが送れるんだわ。
ttp://www.r-e-d.jp/kikaku.html

そこで、「口腔大図鑑100人」とかいうタイトルで、素人娘の口内を見たい!って書いて送らない?
ここの結束力があれば、恐らく商品化も不可能ではないと思ってきたんだけど・・・

387 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 22:02 ID:8saWqHd+
>>386
んー、「歯医者の女」も続編でてないしなぁ・・
厳しいんじゃないかなぁ。
このスレも、盛り上がってはいるが人数的にどうかといえば・・。

388 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 22:04 ID:0piRx4o2
 いやーこのスレは萌え萌えですよ〜。
 書いてくれてる人&まとめてくれた人、ありがとう〜
 治療終了まで続くことキボーン
 できれば治療後の外観で恥ずかしがるところもキボーン

389 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 23:22 ID:xnVIL5MU
>>381さん

美人先生の差し歯編、つづき楽しみ。オナニーしても良いでしょうか?


390 :名無しさん@ピンキー:04/09/07 23:49 ID:kQZkM0/t
萌えー、作者の皆さんありがとう

個人的には、先生の学生時代好きなんだが、
もしかして、これ書いてるの女の人じゃね?

そして、続きキボンヌ
でも、本編も楽しみ。

391 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 00:22 ID:c38rXOsZ
>>388
外観で恥ずかしがるのは必須だよな!
個人的には、4番あたりの大きなインレーが、
大口開けて笑ったりしなくても普通の生活でちらちら光るのが萌え〜
>>390
書いてるの女の人なら、実体験混じりってこと?
もしホントなら萌え死ぬよ〜(´∀`)

392 :番外編・萩原先生:04/09/08 03:21 ID:d8zEJrLq
すまぬ、続き。381の後ね。

その後、二人は、歯科医と衛生士というよりは同期として、比較的仲良くすごしていた。
夏美は、検査でカリエスリスクが高いことがわかった佳奈子が、
その割には歯を健康に保っていることに感心し、
PMTCを定期的に行って、予防に協力的したりもしていた。
が、ときどき、佳奈子は、夏美が歯のことで自分を馬鹿にしているのではないかと、
たまらない気持ちになることがあるのだった。

さて、佳奈子の、肩こりが原因だと思われた右下の違和感は、
徐々に、奥のほうに収束していった。
しかし、自分で鏡の前で念入りにチェックしても、特に異常はみられなかった。
これで明らかな痛みでもあれば、レントゲンで調べるところだが、
半年に一度、検診を受けていることもあり、佳奈子は安心してしまっていたのだった。

393 :番外編・萩原先生:04/09/08 03:22 ID:d8zEJrLq
その頃、佳奈子は、件の19本の虫歯の患者、香緒里の治療を担当していた。
彼女の歯は虫歯が進行しているため、神経や根の治療が多い。
歯科治療は、重労働だが、特に、根の処置には集中力が必要だ。
その日も、香緒里の2本の奥歯の根を治療することになっていた。
「んあ!あぅ!」
「我慢してー、もうちょっとだから、動かないで・・」
「あぁぁ」
「はい、よく頑張ったわ。ちょっと休憩しましょ」
1本目の処置を終え、佳奈子も少しホッとして、手を洗いに立った時だった。
ズキーン。
佳奈子の右下6番に、痛みが走った。とっさに、顔をしかめ、右頬を手で押さえる。
「えっ・・虫歯?」
ドキリとしたが、一度深呼吸をすると、痛みはほとんど消えた。

394 :番外編・萩原先生:04/09/08 03:23 ID:d8zEJrLq
「何だったんだろう・・」
首をかしげながら、香緒里の治療に戻った。
「じゃあ、次はこの歯をやるわね。」
ピンセットで、仮の封をはずし・・・
ズキ。
「ぁ」思わず声が出た。また、痛みが走ったのだ。
不思議そうに見つめる香緒里に微笑みかけて、ピンセットで詰めてある綿を取り出し、
深呼吸してみる。
しかし、今度は、痛みは消えなかった。
ズン、ズン、ズン、ズン・・
痛い・・・。
根の治療など、とてもできる状態ではなかった。
急に黙り込んだ佳奈子を、夏美が厳しい目で見ていた。
佳奈子はその視線に気付くと、ふぅ、と短くため息をつき、
「ちょっと炎症が残ってるわね。薬を入れて、もう少し置きましょう。」
と、香緒里に告げた。
「じゃあ、今日は・・」
少しホッとして、しかし、不安げに香緒里が尋ねる。
「そうね、薬を入れて閉じたら終わり。あ、心配することはないわ。大丈夫よ。」
そう言うと、佳奈子は手早く薬液に漬けた綿をつめ、封をして、治療を終えた。

395 :番外編・萩原先生:04/09/08 03:31 ID:d8zEJrLq
香緒里を送り出し、医院内の片づけをはじめる。
今日の最後の患者は香緒里で、他のスタッフは、すでに帰ってしまっていた。
「先生」
夏美が、器具を洗浄器に入れながら、隣の佳奈子に言う。
「ひょっとして、歯・・痛むんじゃないですか?」
「え?」
内心の動揺を悟られないよう、笑顔で返した。
「右の歯でしょう。」
思わず、ぴくっとする。夏美は、さらに続けた。
「どうして隠すんですか。そんなの、歯科医として失格でしょう?」
その強い口調に、少しカチンと来て、佳奈子は言い返した。
「ちょっと頭痛がしただけよ。歯はなんともないわ。ほら。」
自分でチェックして確かめた後なので、堂々と口を開けてみせる。

396 :番外編・萩原先生:04/09/08 03:33 ID:d8zEJrLq
すると・・・
「たしかに、見たところ大丈夫そう、ですね、でも」
夏美は、顔をしかめながら言った。
「先生、口臭がしますよ」
佳奈子は、とっさに口をつぐんだ。思わず、手で口を押さえた。
「その臭いは、絶対に虫歯になってますよ。ちゃんと調べました?」
夏美に言われ、口から下ろした佳奈子の手が、かすかに震える。
「そんな」
臭いでわかるわけないでしょう、と、思わず詰め寄ると、
「うっ」
夏美が顔を背けた。
佳奈子の顔が蒼白になる。
「すみません、今の、わざとじゃないんです。でも、きっと虫歯あると思います」
夏美があわててフォローした。
佳奈子は黙ったままだ。
重い沈黙が流れる。

397 :番外編・萩原先生:04/09/08 03:34 ID:d8zEJrLq
「そうだ、明日から、紺野先生がお見えになるそうです。」
夏美が思い出したように言った。
佳奈子の歯を治療してくれた紺野は、目標どおり、小児歯科専門医になったが、
今は大学で、主に研究をしていた。
大きなマンションが近いこの歯科医院には、夏休み、治療勧告をもらった
子供たちが、大勢やってくる。
そこで、院長は、夏休みの間、後輩である紺野にヘルプを頼んでいるのであった。
「で、今日、小児用の器具のチェックに来られるって言ってました。
ちょっと遅くなるそうですけど・・待って、診てもらったらいかがですか」
と、夏美が提案した。

398 :番外編・萩原先生:04/09/08 03:52 ID:d8zEJrLq
佳奈子は考えた。たしかに、あの痛みは、なんともないわけがない。
でも、見た目はなんともないのに・・・
突然佳奈子は、痛む歯、6番はレジンで治療済みなことを思い出した。
・・2次齲蝕?
先日治療した、香緒里の歯が、中でボロボロになっていたのが目に浮かぶ。
「そうね、そうするわ」
佳奈子は、軽くため息をついて、治療椅子に横に座った。
夏美は、棚から佳奈子のカルテを探し出し、治療台に置くと、
「私も、待ってます」と言い、そばの椅子に座った。

1時間後。紺野がやってきた。
「ひさしぶり。でも、こんな時間までどうしたの、二人とも」

399 :番外編・萩原先生:04/09/08 04:11 ID:d8zEJrLq
時計は8時を回っていた。
「実は・・歯がちょっと痛くて」
右頬を押さえながら、佳奈子が言った。実は、待っている間に、我慢できなくなり、
ボルタレンを1錠飲んでいたが、なんとなく痛みは消えなかった。
「ああ、それはいけないね。ちょっと見せて」
佳奈子が口を開ける。
「半年前にはなんともなかったけどね。どこ?」
「ひたの、6番です」
口を開けたまま答えると、紺野がかすかに眉をひそめた。
「佳奈子ちゃん、ちょっと、はー、ってしてみてくれる?」
佳奈子の顔が硬直する。

400 :番外編・萩原先生:04/09/08 04:16 ID:d8zEJrLq
「診察だから。ほら。」
紺野に促され、佳奈子は、しぶしぶ、
なるべく、息が出ないように、控えめに口を開けた。
「はー」
「いや、もっとちゃんと。」
強い口調で言われ、佳奈子は、思い切って、
「はーっ」
と息を吐いた。
「んっ」
紺野が思わず声を出す。
佳奈子は、泣きそうな顔になって、
「クサイ・・ですか」と、小さな声で尋ねた。
伏目がちに、ふっ、と肩でため息をつくと、紺野は佳奈子の顔を見た。

401 :番外編・萩原先生:04/09/08 04:24 ID:d8zEJrLq
「ちょっと、口臭がひどいね。おそらく、進行した虫歯があるのだと思う」
淡々と、事務的に言われたが、佳奈子は真っ赤になった。
「大丈夫。虫歯を治せば、ちゃんと消えるから。」
紺野になぐさめられ、かえって、恥ずかしかった。
カルテを手にとって、紺野は続けた。
「おそらく、この6番の下で齲蝕が進んでいるね。ひょっとすると、上かもしれないけど」
そう言いながら、椅子を倒した。
歯の痛みでは、上下を混同してしまうことが、しばしばあるのだ。
「はい。口開けて。」
ミラーで下の6番を念入りにチェックした後、
上の6番も、唇を指で押し広げながら、丹念に観察する。
佳奈子の口は、やや小さいので、少し見にくいらしかった。
そのため、紺野は、いつも佳奈子にリトラクターをはめて診察・治療するのだが、
佳奈子は、はずす時に、自分の唾液が糸を引くのが、とても恥ずかしかった。

402 :番外編・萩原先生:04/09/08 04:25 ID:d8zEJrLq
「ちょっと我慢して。」
そう言うと、上の6番に、シュッ、とエアーをかける。
「んぁあ!」
佳奈子が顔をしかめる。
「次は下いくね。」
シュ、シュッ。
「ぁあー」
ふたたび、顔をゆがめる。
「どうやら、両方ともやられてるみたいだ。上のほうがひどそうだけど、
レントゲン撮ってみよう。金子さん、お願い。右側だけでいい。」
夏美に伴われ、レントゲンを撮って、椅子に戻った。
しばらくたって、レントゲンができてきた。
やはり、上下とも、中で虫歯が進行しているらしい。
そればかりか、上の歯は、7番の中も、黒っぽく抜けて写っている。
「やられたね・・」
紺野は、半年前の検診の時、時間がなくてレントゲン撮影をしなかったことを、
少し後悔していた。
「ま、治すしかないね。」
佳奈子が頷く。
「じゃ、リトラクター。あと、麻酔お願い。」
深夜の、治療が始まった。

403 :番外編・萩原先生:04/09/08 04:30 ID:d8zEJrLq
後お願い。
助手が先生をいじめる、つもりだったが、思いがけない方向になってしまった。
ま、いいか。

寝まーす

404 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 04:35 ID:+IYo7GzZ
>>403


405 :295:04/09/08 06:10 ID:JEfZlIyq
小説書いてくれたみんな、乙!

今朝は、
本 編・・・>>374 04/09/07 09:31 まで
番外編・・・>>402 04/09/08 04:25 まで纏めてUpした。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand/4796/feti/index.htm

全編終了した時点で、Zipで落とせるようにしようと思う。

406 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 09:39 ID:8ZUig6sR
まとめてくれてありがとう〜、

407 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 10:43 ID:8ZUig6sR
まとめて読むと、本編と番外編のつながりで、また萌え〜

萩原先生の、
「19歳で歯を抜くのはつらいだろうけど、残せないものは仕方ない」
とか、
「根がダメになってたら差し歯にもできない」
とかいうせりふに、実感がこもってるんだなあと・・

香緒里の次回の治療が夜だから、萩原先生の歯が痛み出すのは次回?
それとも、もう済んじゃってるのかなあ。

今後は、これだけ強気の夏美衛生士に歯のトラブルを期待。(そんなことしたら終わらんって)

408 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 11:00 ID:7WRpoNmm
すげー、萩原先生の方も本格的だ。
ちょっと書かせてもらいます。

「じゃ、麻酔するね。最初ちくっとして・・って、言わないでも分かってるか」
紺野は笑いながらそう言うと、注射器を手に取り、佳奈子の歯茎に刺した。
「んっ・・」
手に力が入る。麻酔の注射って、こんなに痛かったっけ。
「もう一本ね」
眉間にしわが寄る。痛い。
「麻酔が効いてくるまで、ちょっと一服してくるね・・ちょっと眠くてね」
紺野はそう言って、注射器を台におき、診察室の外に出て行った。
「ふぅ・・」
佳奈子がため息をつくと、夏美が冷たい声で
「そうやって前歯ダメにしたんですか?」と言った。
佳奈子の肩が、ぴくっと震えた。

409 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 11:01 ID:7WRpoNmm
「患者には『こんなになるまで放っておいて』って言うのに、自分は痛くなるまで我慢ですか」
はっ、と嘲るように笑う夏美。佳奈子は唇をかんでうつむいた。
「で?私が言わなかったら痛くなっても放っておく気だったんですか?」
「ち、ちがぅ・・」
目に涙が浮かんできた。力なく首を横に振ると、目尻から涙がこぼれる。
「じゃあ、なんで隠したんですか」
何も言い返せず、うつむく。悔しさと恥ずかしさで、涙がどんどんあふれてくる。
「そんな気持ちでやってるなら、歯医者やめた方が良いんじゃないですか」
「言い過ぎだ。金子君」
紺野の声が、診察室に響いた。びくっとして後ろを振り向くと、紺野がドアのところに立っていた。
いつから聞いていたんだろう。たまらなく恥ずかしい。
「でも・・」
夏美が言い返そうとすると、紺野はきっぱりと
「萩原君は良い歯科医だ。指導してきた僕が保証する」
と言った。夏美は、何か言いたげな顔をしていたが
「すいませんでした」といって黙り込んだ。

410 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 11:02 ID:7WRpoNmm
紺野が、佳奈子の正面にたった。泣いてる顔を見られまいと、涙を拭く。
「萩原」「っ、はいっ・・」
紺野にそう呼ばれ、どきっとした。学生時代、紺野がこう呼ぶ時は必ず学生をしかる時だった。
「君にも、もう少し早く来てくれたらもっと良い状態で歯を残せたのに、って悔しくなる時があるだろう」
今まで聞いたこともない、厳しい口調だった。
佳奈子は、すこし怯えながら「・・はい」と言った。
「特に気にかけてる患者にそれをやられると、空しくなるだろう」
申し訳なくなって、うつむきながら「・・はい」と答える。
「君は聡明だから、今の僕の気持ちが想像つくだろう。僕は今怒る気力すらない」
紺野はそう言うと、佳奈子に背を向けエアタービンをいじり始めた。

紺野に、これほど厳しくしかられたことはなかった。
佳奈子の目から、また涙がこぼれ始めた。「くっ・・んくっ・・ひっく・・」嗚咽がこみ上げる。
夏美が、哀れむような目でこちらを見ている。
「ご・・ごめんなさい・・」
紺野の背中にそう言ったが、紺野は何も返さなかった。

411 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 11:14 ID:8ZUig6sR
おおおお、いじめ入りました!
そして、紺野もただの優男かと思ってたら!

昼間から息詰まる展開・・期待してます

412 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 12:01 ID:yf4ofMfn
「泣いてないで。治療始めるよ」
もう一度こちらを向いた時、紺野の口調はいつもの優しい口調に戻っていた。
「は、はいっ・・」
涙を白衣の袖で拭き、佳奈子は口を開けた。
紺野が素早くリトラクターをセットする。
「まず、入ってる詰め物はずしていくから」
ピンセットを手に取り、紺野が言う。
口の中でかちゃかちゃという音が響き、引っ張られたと思うとスポっと詰め物がとれた。
はずした詰め物を台に起き、そのまま下の歯のレジンも抜き取る。
「全然くっついてなかったね。触ったらくずれていくな」
紺野がピンセットを台に置くと、金子がけほっとむせた。
そう、自分の口の中とは思えない臭いが、診察室に漂っていた。
「見るかい?」
紺野が手鏡を差し出したが、首を横に振った。
涙で曇って、周りがよく見えない。
「んっく・・」
しゃくり上げると、余計にその臭いが感じられて、悲しくなってくる。
「うっく・・ひっく、ひっく・・」
紺野にこんな姿を見せるのは、いやだった。

413 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 12:01 ID:yf4ofMfn
「ほら、泣かない泣かない。なっちゃったもんはしょうがないから、早く治そう」
紺野は、優しい声でそう言うと、佳奈子の肩をぽんぽんと叩いた。
夏美が、佳奈子の涙をさっと拭く。
「続けるよ?」
紺野がそう念を押したので、佳奈子はもう一度涙を拭き、こくんとうなずいた。
紺野は微笑むと、タービンを手に取った。
ひゅいーん、といういやな音とともに、上の歯を削られる感じがする。
そう思った直後、痛みが走った。
「ん、んぁっ・・」
声を上げるが、紺野は
「ん、大丈夫。ちょっと我慢してな」
といいながら削り続ける。
ごぼごぼ、とバキュームの音が響く。
「あ、んぁぁあっ」
もう無理、と思った時、タービンが止まった。
「すごい広がってる・・出来るだけ歯質を残したいけど、厳しいなぁ・・」
紺野はそう言うと、タービンのヘッドを付け替え、もう一度佳奈子の歯を削り始めた。

414 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 12:02 ID:yf4ofMfn
「んぁ・・あ・・」
どのぐらい続いただろう。上の六番は、もうほとんど原形を残していなかった。
タービンの音が止まった。
「ふぅ・・うがいして」
リトラクターをはずして、そう告げる紺野。佳奈子はほっとしてうがいをした。
「これで、神経を抜いていって・・後、下も同時にやろうか。レントゲンでは、下は神経まで行ってないはずだし。麻酔なしでさっと行こうか」
紺野はそう言うと、佳奈子の方に目を向け同意を求めた。
「え・・あ・・はい。お願いします・・」
佳奈子がそう言うと、紺野はにこりと笑って、リーマーを手に取った。

「じゃ、行くから」
そう言うと、紺野は佳奈子の歯に針を入れた。
「んっ・・ぁあ・・」
ぐりぐりとねじり、抜く。
いつもは、佳奈子が患者にしている事なのに、自分がされる側になるとやはり痛かった。

415 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 12:06 ID:yf4ofMfn
本編と番外編、微妙につながってるんですよね。
・・となると、本編のほうも同じぐらいの進度で進める必要が・・?
そんな難しいこと考えないでいいかw

ってことで、
本編   >>374
番外編 >>414
です。あとどなたかよろしくー。

416 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 12:28 ID:8ZUig6sR
おお、サンクス。混乱してきたので、治療途中経過を整理。

大野香緒里・19歳女
右上
7 C2
6 2次齲蝕・歯冠部全除去・根を治療中
5 C2
4 C2
3 C1
2 C2
1 C2
左上
1 C2
2 C3 院長待ち
3 C2
4 C1 
5 C2
6 C4 根を治療中・抜く可能性あり?
7 C3 感染歯質除去・神経処置済み(次回土台立て)
右下
7 C2
6 インレー(OK)
5 C2
4 レジン・2次齲蝕
左下
5 C2 インレー治療完了!
6 インレー(OK)
7 C2

417 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 12:32 ID:8ZUig6sR
萩原先生はそれほどでもないし、この程度で。
右上6を2次齲蝕の治療中、根を処理中
右下6を2次齲蝕の治療予定、神経はOK?
あと、レントゲンで右上7も中がやばいんだよね?

418 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 12:38 ID:KfJUBicN
本格的だなー・・
しかし、改めて一覧となるとすごい歯だなぁ>香緒里
萩原先生は、状況その通りかと。
後2回ぐらいで治療完了かな・・?

このスレに常駐してるドクター、治療よろしくw

419 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 12:53 ID:8ZUig6sR
どっから手をつけていいかわからないわ・・
(萩原先生の気分で。)
終わるかねえ。
頑張れ、香緒里。通うのやめるなよ。
ま、ダレてきて続けられん!ってなったら、来なくなったことにすればいいのか(w
萩原先生は、終わりそうだね。
毎日主治医と怖い衛生士に囲まれて逃げられんし。

420 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 13:20 ID:KfJUBicN
番外編の情報によると、今度の香緒里の治療は根の再治療だけ・・?
んー、長期戦だなぁ。
香緒里ちゃんが最後まで治療続けられるよう応援♪

萩原先生不遇だなぁ。毎日こんな同僚と仕事するのか・・。

421 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 13:33 ID:8ZUig6sR
そういえば、本編は「俺」視点なんだよね
きっと、彼が最後まで続けさせるだろう。

俺的には、萩原先生萌え〜
紺野との関係が気になる。付き合ってるわけじゃなさそうだが・・

422 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 13:35 ID:rYH9j2Ky
「ん…んぅっ」
痛みよりやるせなさと自責の念、申し訳なさと悔しさが渦巻いていた。
目を閉じればその思いの濁流に飲まれてしまいそうで、佳奈子は目を開けた。
しかし、紺野の顔はとても直視できない。
横目で夏美を見ると、馬鹿にしたような目つきだ。
仕方なく天井の模様を数えて、痛みと感情に耐えた。
「はい、終わり。大丈夫、根の先までは行ってなかったからね」
そういって手早く薬を入れ蓋をすると、佳奈子ににうがいをするように促す。
「前回レントゲンを撮らなかった僕も悪かった。
 でも、佳奈子ちゃんはカリエスリスクがかなり高いから、
 次から違和感があったらすぐ連絡して欲しい。いいね?」
佳奈子が返事をしようと水を吐き出している間に、夏美がたたみかけた。
「そうですよ。先生には自覚がなさ過ぎます。大体、上下とも二次齲蝕だなんて」
何も言えないでいると、紺野が言った。
「…そうだね。左は大丈夫そうだし…歯磨きが雑になってるんじゃないかな。
 右利きの人は右が磨きにくいからね。」
「私、指導しましょうか?」
「嫌よ!あ、あなたにだけは、指導されたくないわ」

423 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 13:52 ID:rYH9j2Ky
佳奈子は叫んだ。
「私だって私なりに気をつけているわ…あなたが休憩中につまんでいるお菓子、
 一度でも私が口にしたことがあった? 
 午後の診療に出る前に歯磨きをしなかったことが一度でもあった?
 それでも、虫歯にはなるのよ!
 あなたに虫歯がないのは私より技術や心意気が優れているからではないわ。
 たまたまあなたがラッキーな人だったからよ!
 そんな人に、そんな、虫歯を作ってしまった人の気持ちを理解しようともしないで、
 優越感に浸るために衛生士になった人に、
 侮蔑の目で見られながら指導されるなんて、死んでも嫌だわ!」
最後は嗚咽と混じって、自分でも嫌になるほど醜い声だった。
「そんな…侮蔑だなんて…」
「見てるわよ! 自覚がないなんて更にタチが悪いわ!」
夏美の顔が青ざめたのが判ったが、もう止まらない。

424 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 14:06 ID:rYH9j2Ky
止めたのは紺野の声だった。
「はいはい、終了終了。
 佳奈子ちゃん、言い過ぎ。さっきの金子君と差し引きゼロだ。
 金子君、僕は君が衛生士になった理由は知らないが、
 さっきの言い方では確かに、誤解されても仕方ないよ。
 佳奈子ちゃんなら今までの交友もある。謝れば許してくれるだろう。
 でも患者さんは一期一会だ。フォローは効かないよ。気をつけた方が良い。」
乗った僕も同罪だけどね、といいながら、紺野はハハ、と軽く笑った。
夏美は、済みませんでした、と言ってきたが、佳奈子は気が立って許すどころではない。
ぷい、と夏美から顔を背ける。
「ふぅん、じゃあ今日のところは僕が指導しよう。」
その様子を見た紺野がそう言ったので、佳奈子は驚いてしまった。
「小児歯科医だよ。こう見えても指導も評判いいんだ。
 はい、下もやるから倒すよ。」
佳奈子の返事を待たずに、紺野の指導が決定してしまったらしい。
さっきとは別の恥ずかしさが頭を支配して、他のことは考えられなくなってしまった。
「佳奈子ちゃん、佳奈子ちゃん? 終わったよ。」
紺野に肩を叩かれて、ようやく正気に戻る。


続きお願いします。
あ、書き忘れてた。>>414の続きでした。

425 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 14:47 ID:KfJUBicN
ぬを、ついに佳奈子のコンプレックスに火をつけちゃった夏美・・
すげぇ。ドラマ化期待したくなるw

>>421
紺野は「憧れ」ってスタンスで良いのではないでしょうか。
だから恥ずかしい、と。


ただいま本編は>>374
番外編は>>424まで続いております。
どちらも続き募集。

426 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 14:49 ID:KfJUBicN
追加

香緒里、佳奈子の歯の状況は>>416-417参照

427 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 18:35 ID:jH7H7q9q
現実の話もしたいがネタがないよな。
超接写主義の更新待ち状態が続く…

428 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 19:17 ID:8ZUig6sR
本編ちょこっと行きます

「萩原先生、最初怖いと思ったけど、いい先生だわ。」
家に帰ると、香緒里がぽつりといった。
「そうだな。怒るけど、親身になってくれてる感じするもんな」
美人だし、というのはやめておいた。
しかし。
「香緒里。あーん。」
「あーん」
素直に口を開けてみせる。ずいぶんと治療した気がするのだが、
まだ、終わったのは左下の1本きりだ。
そういえば、この歯がきっかけだった。
あのときは、こんなに大変なことになるとは思ってもみなかった。
口の中には、まだたくさんの虫歯が残っている。
歯がなくなってしまっているところも2本もあった。
可哀想に・・・


429 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 19:27 ID:8ZUig6sR
よく頑張ったな、とキスをしようとする。
香緒里も、目を閉じた。
が、さっき見た、銀歯の下のぐずぐずに腐った歯が、目に焼きついていた。
実はあの時、汚らしいな・・・と、俺は一瞬だが思ったのだった。
臭いもかいでしまったのが、いけなかった。
一瞬唇に触れたが、軽いキスだけで、離れてしまった。
同時に、萩原先生の白い歯が浮かぶ。
きっと、あの先生は虫歯なんかないんだろうな。
香緒里が、少し悲しそうに、こちらを見ていた。

次の予約の日。



430 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 19:32 ID:8oRhysvm
本編キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
香緒里頑張れ!

431 :超接与主義:04/09/08 19:42 ID:JEfZlIyq
>>427
撮影はしてますが、仕事が忙しく編集作業が進めません。
いま暫くお待ちください。

432 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 19:53 ID:8ZUig6sR
今日は、いつもより遅い時間だった。
「今日はきちんと来てくれたわね。」
助手がにっこり笑う。
「今日も、よ。」萩原先生が訂正してくれた。
「さて、今日は。まず、前回削った一番奥の歯に土台を入れるわね。
で、そのあとで、根の治療を2本やるから。頑張りましょ。」
夜のせいか、先生はいつもよりも元気がないように見えた。
「じゃ、土台を入れるわね。神経は取ってあるけど、ちょっと響くかもしれないわ。頑張って。」
そう言って、治療台の歯の模型に立ててあった、金属の柱のようなものを手に取った。
横で、助手がセメントを練って渡す。
「あーん」
金属の端にセメントをつけ、香緒里の口の中に入れる。けっこう、ぐいぐい押し込んでいるようだ。
「あが!んんっ!」
香緒里がうめく。
「あぁぁ」
涙がつつ、っとこぼれた。
「がんばって。もう少し。」


433 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 20:10 ID:8ZUig6sR
さらにもう一度、ぐぐっと押して、
「はい。終わり。セメントが固まったら、型取るわね」
はい、と香緒里が頷く。
「だいぶ頑張れるようになったじゃない。偉い、偉い。今日はあともう二頑張りだけどね。」
萩原先生は、そう言って笑うと、左手で右肩を揉みながら立ち上がり、
助手に、「金子さん、型取りお願いね」と言って、伸びをした。
他の治療台で治療を受けていた人は、もう終わったらしく、すでに、診察室には
俺と香緒里、萩原先生と助手だけになっていた。
助手が、ピンクのゴムが乗ったプレートを、香緒里の歯に押し付けている。
「んぐ」
「はい、噛んで。このまま動いちゃダメよ?」
こくこく、と香緒里が頷き、俺の方を見ると、情けなさそうな顔をした。

434 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 20:22 ID:8ZUig6sR
しばらくして、型がはずされると、萩原先生が戻ってきた。
「さーて。準備はいい?」
香緒里が少し緊張するのがわかる。
「まず、このあいだやった、右上から行くわね。もう大分神経は取ったから、
痛くないとは思うんだけど・・・どうしてもダメだったら、麻酔しましょう。」
先生はそう言って、椅子を倒し、例の針を手に取った。
「ちょっと細めのだから。大丈夫よ」
ミラーと針を、香緒里の口に入れる。と・・・
「ん、んぁああっ」
香緒里がびくん、と跳ねた。
「金子さん、押さえて。」
助手が押さえに入るが、
「あぁぁ、ああん」
脚をバタバタさせて、香緒里が泣き叫ぶ。

435 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 20:50 ID:8ZUig6sR
「動くと危ないわ、彼氏も手伝ってくれる?」
助手に言われ、下から、手と腿のあたりを押さえる。
「あああああ」
下から見ると、壮絶な図だ。
ふぅ、と息を吐いて、先生が離れる。
香緒里の顔は、涙でグシャグシャだ。
先生も、うっすらと汗をかき、別の針を選んでいる。
集中して邪魔になったのか、マスクを外した。
助手が、あら、という顔をする。
「今度は少し入れるだけだから。大丈夫よ。麻酔なしで行きましょう。」
香緒里はもう、目をつぶってぐったりしている。
「はい、あーん。」
そう言ったとき、先生の口の中に、キラッと光るものがあった気がした。
俺は目が釘付けになった。

436 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 20:51 ID:8ZUig6sR
「んんん。」
香緒里がうめく。
萩原先生は、ミラーに写る歯の内部を少し顎を上げて覗き、下唇を軽く噛みながら、
「頑張って・・もうちょっとだから」
と言って作業を進めていく。
前歯の裏だ!一瞬見えた萩原先生の前歯の裏は、ギラギラと光っていた。
前歯が・・銀歯?動悸がはげしくなる。
すると、横の助手にひじをつつかれた。
思わず、手を離してしまっていたらしい。治療は続いていた。
「んあ!あぅ!」
「我慢してー、もうちょっとだから、動かないで・・」
「あぁぁ」
「はい、よく頑張ったわ。ちょっと休憩しましょ」
ようやく終わったようだ。

437 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 21:00 ID:U5qoB8VE
308のあたり書いたんだけど・・
やべー、本編と番外編が激しくリンクしてる・・
本編に過去告白の部分入れちゃってホントゴメン。
過去告白(>>308)のところ、誰が適当に差し替えてくれるとありがたい。
香緒里を何とか適当に改心させてw
萩原先生は番外編の過去の方が萌えるし。

438 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 21:33 ID:8ZUig6sR
先生が席を立ち、助手も後をついていった。
「香緒里、ごめんな、押さえつけたりして」
香緒里は、ひっく、ひっく、としゃくりあげている。
「ううん、いいの。協力してくれて、ホントありがとう。」
気弱になっているのか、やけにおとなしい。
「ねえ、どうしよう、次の歯。大丈夫かな」
「何が」
「抜くかもしれないって・・・」
「この間、ちょっと強くやられたから、大丈夫じゃないのか。」
「怖いよぉ」
そんな会話をしていると、先生たちが戻ってきた。

439 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 21:50 ID:8ZUig6sR
先生は、またマスクをしている。
俺はちょっとがっかりした。
「じゃあ、次はこの歯をやるわね。」
椅子を倒し、ピンセットを手に、先生が左上を覗き込む。
ゴムの封を外す。
「あ」
先生が小さく叫んだ。
香緒里の顔が、さっと緊張する。
ひどいのだろうか・・・
先生は、穴から綿をつまみ出すと、しばらくそれをじっと眺めている。
ため息をついているようだ。
抜くのか・・!?香緒里の緊張が伝染したように、俺も息苦しくなってきた。

440 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 21:53 ID:8ZUig6sR
すると、先生は、
「ちょっと炎症が残ってるわね。薬を入れて、もう少し置きましょう。」
とだけ、香緒里に告げた。
「じゃあ、今日は・・」
あの痛い治療がないということに少しホッとしつつ、
しかし、抜くことになるのではないか、という不安混じりに香緒里が尋ねる。
「そうね、薬を入れて閉じたら終わり。あ、心配することはないわ。大丈夫よ。」
助手も、横で「ちょっと置いておく時間が短かったからよ。大丈夫。」
と、フォローしてくれる。
良かった・・・
先生は、手早く、綿を薬に漬けて、香緒里の歯に押し込む。
「んんん」
少しまだ、しみるようだ。
その後、また封をして、今日の治療は、あっさり終わった。
「じゃあ次は・・・また、明後日、金曜日に来てくれる?」
助手が、次の予約を入れてくれた。

「先生、なんだか疲れてるみたいだったな」
香緒里が言う。
「私の治療がひどすぎるせいかな。」
「そんなことはないと思うけど、一生懸命やってくれてるよな。香緒里も頑張らないと。」
香緒里は、しっかりと頷いた。

いじょ。後頼んだよ〜
番外編とリンクさせてみたんだが、やりすぎたかな・・

441 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 21:56 ID:8ZUig6sR
香緒里の歯の現況
しかし、ここしか変化なし
7 C3 感染歯質除去・神経処置済み・土台立て済み

終わるのかなあ
そろそろ院長帰ってくるか??

442 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 21:57 ID:U5qoB8VE
>>440
おつかれー。
番外編とのリンクはすごく(・∀・)イイと思うなぁ。

香緒里も、萩原先生も、彼も、金子助手も、おつかれさまw

443 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 21:59 ID:U5qoB8VE
要望としては

院長が帰ってきても萩原先生に治療して欲しい・・。
ついでに、金子助手による香緒里のブラッシング指導も・・

贅沢言ってゴメンw

444 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 22:19 ID:8ZUig6sR
>>437
そんなに気にすることないよー
でも、ご要望にこたえて、308をマイナーチェンジしてみました
患者の前なので、ちょっと子供の頃の虫歯の話で隠してるとこがミソ

「・・私もね、子供の頃、虫歯だらけで、いっつも痛い痛いって泣いてたの」
先生は遠い目をして語り出した。
「でもね、熱心な歯医者さんに、まあ、なんていうか、救われたんだ」
香緒里は、驚いたような目で先生を見た。俺も、先生にそんな経験があるなんて信じられなかった。
「歯が丈夫な人はさ、歯とか治療の痛さ、知らないのに、治せ治せって、言うでしょ。この彼氏とか。」
そういうと先生は俺を見て、ふっと笑った。香緒里も、つられて笑って、頷く。
「でもね、こんなふうに、親身になって心配してくれる人がそばにいるなんて、幸せなことよ。」
先生は、今度は香緒里に、微笑みかけた。
「ま、この彼氏は心配してくれても、歯は治せないからね。役立たずなんだけど。
そこは私が何とか協力するから。ね。がんばって、治していこう。」
そういって、香緒里の肩をぽんぽんと叩いた。
「・・分かりました」
香緒里は、先生の方を向いてそう言った。
「それじゃ、次の予約月曜に入れておくから」
だが、先生がそういうと、香緒里は不安そうに目を泳がせた・・。


445 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 22:38 ID:3L9KsN2v
皆さん乙!

現段階で
本編  >>440
番外編 >>424

歯の状況は>>416-417>>441参照。

308氏により、>>308差し替え要望、>>444に差し替え。

446 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 23:00 ID:8ZUig6sR
「えっ・・?何が?」
横で、紺野も夏美も苦笑している。
「下の歯の治療だよ。まあ、神経まで行ってなかったし、痛みはなかったんだろうけど、
ホントに気付かなかったの?」
「あの、考え事してて」
「まあ、疲れてるんだろう。もう10時だし、明日もあることだし、今日のところは終わろうか。
歯磨きは、また今度ね。じっくりと。」
紺野にいたずらっぽく笑われ、最後は顔を近づけて言われたので、
頭に血が上って、赤くなってしまった。
夏美が、やれやれ、という顔をする。
佳奈子は、さっきのことを思い出し、夏美を睨んだ。
「ほら。二人とも。明日は患者さんの前で仕事があるんだから、そんな顔しない。
怖いおばさん達だと思われるよ。」
紺野の言葉に、二人は同時に、紺野を睨み、
「ま、子供から見れば、おばさんかもしれないわね」
「でも、おじさんに言われたくないですよねー」
と、笑った。
「ま、いいから。帰ろう。そうだ、佳奈子ちゃん、治療の続き。上の根の治療と、上の7番。
僕は明日から毎日来るから、都合のいいときに進めていこうね。これ以上広げるんじゃないよ。」
最後は主治医の顔に戻り、佳奈子に釘をさすと、
紺野は帰って行った。佳奈子と夏美もそれぞれ、帰途についた。

447 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 23:01 ID:coxCpHFT
知り合いからこのスレの話を聞いて見に来た歯科医師です。
大変興味深く面白かったです。
皆さん結構詳しいみたいですが、この業界の方はどのくらいいるのでしょうか?
ストーリーを読むと、実際の診療と符合しない部分もあるので、
みんながみんな業界関係者ではないみたいですね。
あ、ちなみに私は歯フェチではなく興味があってのぞきに来た通りすがりです。
実際に職業にしていると、とてもフェチになんかなれません...

448 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 23:01 ID:8ZUig6sR
おっと、>>424の続きです。
こっちも後よろしくー

449 :名無しさん@ピンキー:04/09/08 23:34 ID:TIMG5ATT
そろそろ院長に帰ってきてもらって、前歯の話も進めたいんだが、
いかんせん専門にしてないのでどう治療して良いかわからん。
447氏あたりに助言して欲しいw

>>444
GJ! 
患者医師関係が一挙に好転するいい台詞だ。彼氏をダシにするとことか最高!

ちなみに漏れは201を書いたんだが、166の、
『上の右の一番前の奥歯がキラっと光るのは知っていた』
の一文をすっかり忘れてた、スマソ。
というわけで、5〜6行目を、
『手前寄り、かみ合わせの半分ぐらいに銀が入っている。
 これが、笑ったときにキラッと光って見えていたんだ、と思うと興奮した。
 縁の部分は綺麗だ。
 だがよく見ると、銀とは離れた、奥の歯との境目が黒くなっている。』
に差し替えしてください。

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